Honest Investor

サラリーマン投資家の備忘録

「あなたはこんなに知られてる」ネット広告でどこまでターゲティングできるか

インターネットをしているときに、さっきまで見てた商品の広告で追いかけられたことはないでしょうか?

あるいはピンポイントで生理アプリの広告が出てきたり、特定企業の社員向けのバナーが出てきたり。。

「なんで私が女ってわかったの?」

「なんで俺の会社知ってるの?」

と、このような広告に気持ち悪さを感じることもあると思います。

意外と知られていませんが、特定のユーザーを追いかけるということは結構細かくできるようになってきています。

どのようにして特定しているか、どのようなターゲットの特定が可能かを紹介します。

企業はターゲットをどうやって絞り込んでいるの?

広告主の企業は広告の効果を高めたいので、商品のターゲットとなるユーザーをピンポイントで狙った広告を打ちたいと考えています。

例えば、以下のような項目でターゲットを絞り込みます。

このような切り分けは大抵のインターネット広告で当たり前にできます。

さらに広告の種類によっては、

  • 年収
  • 家族構成
  • 勤務先の会社
  • 特定の場所・店舗に訪れた人
  • 特定の商品を買った人
  • 借り入れ状況

などというターゲティングもできます。

どうやってユーザーを特定しているの?

ネットの行動履歴で特定

ユーザーの特定方法には様々な方法があります。 オーソドックスなもので言えば、ネットでの行動履歴です。

ネット上でどのようなページを見ているかで、

  • 性別
  • 年齢
  • 興味 ・関心

は類推できます。

実際のターゲティングは、

20代女性投資に興味がある人

といった具合です。

またデバイスからネットに繋げることになりますので、

なんかもページに訪問すれば分かる情報です。

さらに会員を抱えていたりするサービスでは、登録の際にユーザーにアンケートを取得するなどし、「性別」「年齢」「興味・関心」をほぼ正確に取得し、

  • 年収
  • 家族構成
  • 勤務先の会社
  • 借り入れ状況

などまで特定することもできます。

このようなデータを、取得した会社以外でも活用して広告を配信できるように広告を販売しています。

実際のターゲティングでいけば、先ほどよりも細かく、

年収500万円以上男性上場企業勤務借り入れが100万円以下の人

といった具合です。

この辺りはマーケティングに詳しくない人でもそうだろうなと思っているところかと思います。

Wi-Fiから勤務先を特定できる?

ここからがあまり知られていない箇所になります。

アンケートなどをしなくても勤務先の企業などを特定して、その社員に広告を出すということもできます。

答えから先に言うと、企業のIPアドレスを活用したターゲティングです。

要は会社のWi-Fiに接続したことのあるデバイスをその会社で働いている人であると特定する方法です。

会社だけではなく役所なども特定できるので、公務員のターゲティングも可能です。

「会社のパソコンで接続するけど、個人のスマホでは会社Wi-Fiには接続しないんだけど」と言う人もいると思いますが、デバイスが変わってもこの複数デバイスは同一ユーザーだなと類推することは可能です。

複数のデバイスを同一ユーザーが使用することを「クロスデバイス」などと呼びますが、異なるデバイスでのログイン情報などから同一ユーザーを特定できるのです。

  1. Wi-Fiからデバイスの企業を特定
  2. 同じアカウントで個人スマホにログイン
  3. 勤務先企業と個人スマホを特定

といった感じです。

この手法によるターゲティングは細かくて比較的正確にできるので高級商材や特定の分野の人のみ対象の広告で人気です。

実生活での行動による特定

ネットだけの行動履歴ではなく、実生活での行動でもターゲティングはできます。

例えばGPSやフリーWi-Fiへの接続などをもとにユーザーの行動からターゲットを特定する方法です。

など。

また、ポイントカードや電子マネー決済などから購買履歴でもターゲティングが可能になってきています。

スマートフォンを軸にユーザーのネットとリアルの動きが集約されつつあります。

異なる企業間でオーディエンスデータを融通し合っている場合もある

これもあまり知られていませんが、個人情報を含まない範囲でオーディエンスデータを企業同士で融通し合っていたりします。

例えば、A社のサービスで会員となっていいるユーザーXがいたとします。A社のサービスでXは年齢や職業、年収、住所などを登録していました。

通常であれば、XがB社のサービスページに訪れたとしても、B社のサービスに登録しなければB社にはサイト上のアクセス履歴しか分からず、年齢や職業、年収、住所などが知られることはありません。

しかし、B社はA社とオーディエンスデータを融通しあう取り決めをしていた場合、今ページに訪問してきたXというユーザーの年齢や職業、年収、住所の一部など個人情報とならない範囲でB社にも情報を把握されている場合があります。

個人を特定しないデータということでアノニマスなオーディエンスデータなどと呼ばれていますが、異なる企業間で互いのアノニマスなオーディエンスデータに色をつけ合い、「この人はうちのターゲットになりうるから広告でターゲティングしよう」などといった具合に広告の効果を高められるのです。

自動車メーカーや大手キャリアなど、競合でありつつ補完関係が成り立つような業種で実施していたります。

このように書くと、ネット上での素性が企業にバレているようで気味が悪いと思うかもしれませんが、実際のターゲティングは、「サイトにアクセス履歴のある20代で年収500万円以上の人」といったような母集団としてターゲティングに活用されます。

既存の会員情報から類似ユーザーを特定

すでに保有している会員情報をもとに、類似したユーザーを特定する方法もあります。

例えば、「成約に至った人に類似したユーザー」をターゲティングするなど。

FacebookTwitterなどSNSでよく使われている手法です。

ちょっと驚くかもしれませんが、まず優良顧客の「メールアドレス」や「電話番号」といった情報を広告媒体の管理画面にアップします。

「えっ、他社に個人情報渡してるじゃん」

と思うかもしれませんが、渡してません。

誤解なきように詳細を書くと、アップする場所はブラックボックス化されており、アップされたデータは暗号化され広告媒体と広告主の双方でその箱から取り出すことはできません。

SNS上にアップされた優良顧客の「メールアドレス」や「電話番号」の登録があれば、そのユーザーの行動履歴と似た行動をしているユーザーを特定してターゲティングできるという方法になります。

今後はこんな特定も可能になる?

これまでお伝えした内容は、企業でマーケティングしてる人にとっては常識中の常識かと思います。

ユーザーからしても興味のない広告が当たるよりは、興味のある広告が当たった方が利便性は高く、ターゲティングの精度が上がった方が双方にとって利便性が向上すると思います。

今後の可能性として、このようなターゲティングもできるようになるだろう(一部なってきている)というものを挙げてみたいと思います。

TV CMを見た人

これは今でもある程度可能になってきています。

スマートフォンの特定アプリで音声を拾い、CMを特定しそのデバイスでCMと連動したネット広告を展開するといったようなものです。

スマートスピーカー普及もこのような音声をもとにしたマーケティングを可能にするためと言われていますね。

音声を拾って特定するなんで意外とアナログなことしてるなと思われましたか?

私もそう思います。今やテレビもネットに繋がりましたし、共通のWi-Fiに繋がっているデバイスなどで特定して、CMと連動したターゲティングはより容易になっていくと思います。

直近の車の移動距離

これも割と近い将来可能になります。(もうなりつつある?)

広告というよりも、保険の商品設計に役立ちそうですが、こんな細かな情報まで撮れるようになるという例で挙げました。

どうやってとるかというと、スマートアシスト自動車などではコンピュータが搭載されており制御しています。

このコンピュータに使用されているチップで走行データを測定しており、走行データからのターゲティングが可能となります。

これも数珠繋ぎのような取り方にはなりますが、自動車の購入者データや保険データと掛け合わせることで、ネット上でのターゲティングが可能になります。

扇風機をつけた人

「そんなことでターゲティングして何の役に立つんだ」と思われたかもしれませんが、これは一例でユーザーの一挙手一投足を把握して今この瞬間のニーズデータを取得できるようになります。

IoTという言葉を聞いたことはないでしょうか?

Internet of Thingsの略で、要はあらゆるモノがインターネットに接続されるということです。

するとどうなるかというと、ユーザーの動きがあらゆるモノのデータから把握でき、細かなニーズをリアルタイムに把握することが可能となります。

  • 扇風機や冷房をつけた人 = 今暑いと感じている
  • 暖房をつけた人 = 今寒いと感じている
  • 冷蔵庫からアイスを取り出した人 = 余暇時間の可能性が高い

など。

実際にはこのような細かな行動をいちいち特定してターゲティングするのではなく、「今暑い人」「今忙しい人」「余暇時間の人」などで特定の母集団をターゲティングすることになると思います。

汎用AIによる潜在ニーズの特定

こちらはドラえもんの「コピーロボット」をイメージしていただけるといいかと思います。

ネット上に自分のコピーとなるAIを作っておき、あらゆる情報や商品などを収集してくれたり、自分の代わりに店の予約、SNS投稿、メッセージの返信などまでしてくれるようなものです。

開発を目指す企業は多くありますが、まだあまり実用的なものは存在していません。

このような汎用AIは、実生活での行動データやネットでの行動データ、また個人がAIをより自分にマッチさせるように学習させた潜在的なニーズまで把握することになります。

類推ではなく、限りなく本人に近いニーズを把握してユーザーをターゲティングすることが可能となります。

邪魔な広告を排除する方法

このページを見ている人は、おそらく広告が嫌いな人の方が多いと思います。

ネット上の広告をブロックして表示しない方法を紹介します。

YouTubeの動画広告含めネット広告丸ごとブロックする方法

ネット広告を排除するツールとして「AdGuard」というソフトがあります。


AdGuard Premium(アドガードプレミアム) パソコン1台+スマホ・タブレット1台|ダウンロード版

このソフトは、スマホもPCも広告を表示しないことができるソフトです。

そしてすごいのが、YouTubeの動画広告までブロックできてしまうという点です。

広告が表示されない「YouTube Premiere」は月額1,180円(14,160円/年)かかりますから、広告を表示させない目的で月額課金するならこちらのソフトウェア(3,996円)を購入した方が賢いと思います。

「どうしてもネット広告が嫌だ!気持ち悪い!」という人は使ってみてもいいかもしれません。